遺族年金はいくらもらえる?会社員・自営業・子どもの有無別に2026年度の金額を試算
公開:2026年9月3日/最終更新:2026年9月3日/監修:株式会社アールラボ
「もし自分に何かあったら、家族は国からいくら受け取れるのか」。生命保険の金額を考えるとき、いちばん先に知っておきたい数字が遺族年金です。結論を先にまとめます(金額はすべて2026年度・年額)。
- 18歳未満の子がいる世帯には、働き方にかかわらず遺族基礎年金847,300円+子の加算(1〜2人目 各243,800円・3人目以降 各81,300円)が支給されます。子2人なら年1,334,900円です。
- 会社員・公務員はさらに遺族厚生年金が上乗せされます。額は亡くなった方の報酬比例部分の4分の3で、年収500万円・厚生年金25年加入なら年約51万円が目安です。
- 自営業・フリーランスで18歳未満の子がいない世帯は、遺族基礎年金も遺族厚生年金も支給されません。公的な遺族保障はゼロです。
- 2028年4月から遺族厚生年金が見直され、子のない配偶者は原則5年間の有期給付になる予定です。若い世帯ほど前提が変わります。
本記事では日本年金機構と厚生労働省の一次情報をもとに、計算の仕組みとケース別の目安を整理します。特定の保険会社・商品をすすめる内容ではなく、必要な保障額を当サイトが算出するものでもありません。
遺族年金は2階建て
遺族年金は、国民年金から支給される遺族基礎年金(1階)と、厚生年金から支給される遺族厚生年金(2階)の2つで成り立っています。どちらを受け取れるかは、亡くなった方の働き方と、遺された家族の構成で決まります。
会社員・自営業を問わず対象。ただし受け取れるのは「18歳到達年度末までの子」がいる配偶者、またはその子だけです。子がいない配偶者には支給されません。
会社員・公務員など厚生年金の加入者が亡くなったときに上乗せ。子がいない配偶者にも支給されますが、妻と夫で受け取れる条件が異なります。
受け取る側の要件として、亡くなった方に生計を維持されていたこと(原則、受け取る方の前年の年収が850万円未満)が必要です。また、亡くなった方が保険料を一定期間納めていたことも要件になります。
1階:遺族基礎年金の金額
遺族基礎年金の額は定額で、2026年度(令和8年4月分から)は年847,300円です。これに子の人数に応じた加算が付きます。
| 18歳未満の子の人数 | 遺族基礎年金 | 子の加算 | 合計(年額) | 月あたり |
|---|---|---|---|---|
| 1人 | 847,300円 | 243,800円 | 1,091,100円 | 約90,900円 |
| 2人 | 847,300円 | 487,600円 | 1,334,900円 | 約111,200円 |
| 3人 | 847,300円 | 568,900円 | 1,416,200円 | 約118,000円 |
| 0人 | 支給なし | — | ||
子の加算は1〜2人目が1人につき243,800円、3人目以降が1人につき81,300円。昭和31年4月1日以前生まれの方は基本額が844,900円です。配偶者がおらず子が受け取る場合は、847,300円に2人目以降の加算を足した額を子の人数で割ります。
自営業・フリーランスなど国民年金のみに加入している世帯は、この1階部分だけが公的な遺族保障です。末子が18歳到達年度末を過ぎると支給は終わり、その後は何も残りません。
出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」(金額は令和8年度)
2階:遺族厚生年金の計算式と年収別の目安
遺族厚生年金の額は、亡くなった方が受け取るはずだった老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。報酬比例部分は「平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数」(2003年4月以降の期間)で計算します。在職中の死亡など短期要件に当たる場合、加入月数が300月(25年)に満たなくても300月として計算されるため、若くして亡くなった場合でも一定の額が確保されます。
年収を12で割った額を平均標準報酬額とみなし、300月で計算した概算を年収別に示します。
| 年収(額面) | 報酬比例部分(年額) | 遺族厚生年金(4分の3) | 月あたり |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 約41.1万円 | 約30.8万円 | 約2.6万円 |
| 400万円 | 約54.8万円 | 約41.1万円 | 約3.4万円 |
| 500万円 | 約68.5万円 | 約51.4万円 | 約4.3万円 |
| 600万円 | 約82.2万円 | 約61.7万円 | 約5.1万円 |
| 700万円 | 約95.9万円 | 約71.9万円 | 約6.0万円 |
計算式:年収÷12(上限650,000円)× 5.481/1000 × 300月 × 3/4。実際の平均標準報酬額は賞与を含めた月額の平均で、標準報酬月額には上限(650,000円)があるため、年収が高い方ほど実額との差が出やすくなります。厚生年金の加入期間が300月を超える方(長期要件の場合)は実際の加入月数で計算します。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
目安として、会社員の遺族厚生年金は年収の1割前後と覚えておくと見当がつきます。上乗せとしては心強い一方、これだけで生活費をまかなえる額ではありません。
ケース別:いくら受け取れるか
年収500万円・子2人(いずれも18歳未満)の世帯を例に、働き方と家族構成で受け取れる額がどう変わるかを並べます。遺族厚生年金は前節の概算(年約51.4万円)を使っています。
図1 夫が死亡し妻が受給する場合の年額(年収500万円・2026年度の概算)
会社員・子2人=遺族基礎年金847,300円+子の加算487,600円+遺族厚生年金約513,800円。自営業・子2人=遺族基礎年金と子の加算のみ。会社員・子なし(妻40歳以上65歳未満)=遺族厚生年金約513,800円+中高齢寡婦加算635,500円。会社員・子なし(妻30歳以上40歳未満)=遺族厚生年金のみ。バーの長さは、もっとも多い会社員・子2人の額を基準にした比率です。
| ケース | 受け取れるもの | 年額の目安 |
|---|---|---|
| 会社員・子2人 | 遺族基礎年金+子の加算+遺族厚生年金 | 約184.9万円 |
| 自営業・子2人 | 遺族基礎年金+子の加算 | 133.5万円 |
| 会社員・子なし(妻40〜64歳) | 遺族厚生年金+中高齢寡婦加算 | 約114.9万円 |
| 会社員・子なし(妻30〜39歳) | 遺族厚生年金のみ | 約51.4万円 |
| 会社員・子なし(妻30歳未満) | 遺族厚生年金のみ・5年間の有期 | 約51.4万円(5年で終了) |
| 自営業・子なし | なし | 0円 |
妻が亡くなり、夫が受け取る場合
同じ厚生年金の加入者でも、遺されたのが夫の場合は条件が厳しくなります。18歳未満の子がいれば遺族基礎年金と子の加算は妻の場合と同じですが、遺族厚生年金は妻の死亡時に夫が55歳以上でなければ受給権が発生せず、支給が始まるのも60歳からです。中高齢寡婦加算も夫には付きません。共働きで妻の収入が家計の柱になっている世帯では、この差が大きく効きます。
関連:保険の基礎知識「遺族年金のしくみ」(図12・図13で夫死亡・妻死亡の4パターンを図解)
いつまで受け取れるか
遺族年金は「いくら」だけでなく「いつまで」で家計への効き方が変わります。主な区切りを整理します。
末子が18歳到達年度末(3月31日)を迎えるまで。それ以降は支給が終わります。障害等級1・2級の子は20歳未満まで。
原則、再婚しないかぎり生涯。ただし子のない30歳未満の妻は5年間のみです。65歳以降は本人の老齢厚生年金が優先され、差額だけが支給されます。
夫の死亡時に40歳以上65歳未満で子のない妻、または遺族基礎年金が終わった時点で40歳以上の妻に、65歳になるまで年635,500円。
妻の死亡時に55歳以上の夫に限られ、支給は60歳から。子がいる間は遺族基礎年金の受給と重なる場合があります。
2028年4月の見直しで何が変わるか
2025年に成立した年金制度改正法により、遺族厚生年金は2028年4月から見直される予定です。厚生労働省が公表している内容の要点は次のとおりです。
| 項目 | 現行(2026年9月時点) | 2028年4月以降(予定) |
|---|---|---|
| 子のない配偶者への給付 | 妻は原則無期(30歳未満は5年)。夫は55歳以上のみ | 男女とも原則5年間の有期給付。施行直後に対象となる女性は2028年度末時点で40歳未満の方。男性は60歳未満の子のない夫が新たに対象 |
| 有期給付の額 | 報酬比例部分の4分の3 | 新たな加算(有期給付加算)が上乗せされ、現在の約1.3倍 |
| 収入要件 | 前年の年収850万円未満 | 有期給付では収入要件を廃止 |
| 中高齢寡婦加算 | 40歳以上65歳未満の妻に年635,500円 | 施行後の新規受給者から段階的に縮小し、最終的に廃止 |
| 遺族基礎年金の子の加算 | 1〜2人目 各243,800円 | 増額の予定(厚生労働省の説明では年約23.5万円→28万円) |
厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」に基づく予定です。施行時期や経過措置の内容は今後変わる可能性があります。施行前の現在は現行制度が適用されます。
いま20〜30代の世帯にとっては、「子どもがいない間に配偶者を亡くした場合、遺族厚生年金は5年で終わる」という前提に変わることになります。そのぶん5年間の額は手厚くなり、5年後に単身で就労収入が少ない方には継続給付の仕組みも用意される見込みです。若い世帯ほど、生命保険の金額を考える前提が動く点は押さえておく必要があります。
生命保険の金額を考えるときの使い方
遺族年金は、生命保険で備える金額の「土台」です。遺された家族の支出(生活費・住居費・教育費)から、遺族年金・配偶者の収入・貯蓄・勤務先の死亡退職金などを差し引いた残りが、保険で備えるかどうかを検討する部分になります。順番として大事なのは、保険の金額を先に決めるのではなく、遺族年金から先に確認することです。
本記事の数字から言えるのは、次の3点です。
子がいる間は遺族基礎年金がありますが、遺族厚生年金がなく、子が18歳を過ぎるとゼロになります。会社員と同じ感覚で保険の金額を決めると、土台の差の分だけずれます。
会社員でも、末子が18歳到達年度末を迎えると遺族基礎年金と子の加算(年100万円超)が終わります。保障が必要な期間を「末子が独立するまで」と区切って考える根拠になります。
団体信用生命保険に入っていれば、死亡時に住宅ローンは完済されます。住居費を支出から外して考えられるため、遺族年金と組み合わせると必要な期間・金額はさらに絞れます。
当サイトでは、必要な保障額そのものを算出することはしていません。金額はご家庭の支出と資産によってまったく異なるためです。遺族年金の目安を押さえたうえで、いま加入している保険の保障額と期間がその前提に合っているかを確認する、という使い方をおすすめします。
よくある質問
遺族年金はいくらもらえますか。
18歳未満の子がいる世帯は遺族基礎年金847,300円+子の加算(1〜2人目 各243,800円・3人目以降 各81,300円)が土台で、子2人なら年1,334,900円です。会社員・公務員はこれに遺族厚生年金(亡くなった方の報酬比例部分の4分の3)が上乗せされ、年収500万円なら年約51万円が目安です。金額はすべて2026年度の額です。
自営業ですが、遺族年金はもらえますか。
18歳未満の子がいれば遺族基礎年金と子の加算を受け取れます。子がいない場合は遺族基礎年金も遺族厚生年金も支給されず、公的な遺族保障はありません。子がいる場合も、末子が18歳到達年度末を過ぎると支給は終わります。
妻が亡くなった場合、夫は遺族年金をもらえますか。
18歳未満の子がいれば遺族基礎年金と子の加算は受け取れます。遺族厚生年金は、妻の死亡時に夫が55歳以上の場合に限り受給権が発生し、支給は60歳からです。中高齢寡婦加算は夫には付きません。
遺族年金には税金がかかりますか。
国民年金法・厚生年金保険法に基づく遺族年金は、原則として所得税も相続税も課税されません(国税庁タックスアンサー No.1605)。一方、生命保険の死亡保険金は契約形態によって相続税・所得税・贈与税のいずれかの対象になります。
2028年4月の見直しで、いま受け取っている遺族年金は減りますか。
厚生労働省の説明では、すでに遺族厚生年金を受給している方と、60歳以降に受給権が発生する方は見直しの影響を受けないとされています。施行前の現在は現行制度が適用されます。
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本記事は2026年9月3日時点の日本年金機構・厚生労働省の公表内容に基づく一般的な制度の解説です。個別の受給の可否や金額は、加入記録や家族構成によって異なります。
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