傷病手当金はいくらもらえる?支給額の計算式と支給期間「通算1年6か月」、自営業が対象外の理由
公開:2026年9月20日/最終更新:2026年9月20日/監修:株式会社アールラボ
傷病手当金は、健康保険に加入する会社員などが業務外の病気やケガで働けなくなり、給与が受けられないときに支給される制度です。結論を先に言うと、押さえておきたい点は次の3つです。
- 支給額は「標準報酬月額の平均÷30×2/3」。直近12か月の標準報酬月額を平均し、日額を出して2/3をかけます。
- 支給期間は通算して1年6か月。2022年1月の改正で、途中で復職した期間を除いて繰り越せるようになりました。
- 国民健康保険には原則ありません。自営業やフリーランスの方は、傷病手当金を前提にした生活防衛資金の準備が必要です。
本記事では全国健康保険協会(協会けんぽ)の資料をもとに、支給要件・支給額の計算方法・支給期間を整理し、民間の保険をどう考えるかまで解説します。特定の保険会社・商品をすすめる内容ではありません。
傷病手当金のおさらい
傷病手当金は、健康保険に加入する会社員などが業務外の病気やケガで働けなくなり、給与が受けられないときに支給される制度です。労災の対象になる業務上のケガや通勤災害は対象外で、健康保険から生活費の一部を補う仕組みです。
支給される4つの要件
傷病手当金は、次の4つをすべて満たしたときに支給されます。
仕事中や通勤中のケガ(労災の対象)は含まれません。病気と見なされない美容整形なども対象外です。
医師の意見をもとに、それまでの仕事の内容を踏まえて働けるかどうかが判断されます。
最初の連続3日間は「待期」として支給されず、4日目以降の休んだ日が支給対象です。待期には有給休暇や土日・祝日も含まれます。
休業中に給与が出ている間は支給されません。ただし給与が傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます。
支給額の計算式と早見表
支給開始日以前12か月の標準報酬月額がある場合、1日あたりの支給額は次の式で計算されます。
12か月に満たない場合は、直近継続月の平均か、協会けんぽの前年度9月30日時点の全被保険者平均(標準報酬月額30万円相当)のいずれか低いほうで計算します。
| 標準報酬月額 | 1日あたりの目安 | ひと月(30日)の目安 |
|---|---|---|
| 20万円 | 4,444円 | 133,320円 |
| 30万円 | 6,667円 | 200,010円 |
| 40万円 | 8,889円 | 266,670円 |
| 50万円 | 11,111円 | 333,330円 |
標準報酬月額÷30×2/3(円未満四捨五入)で算出した目安です。実際の金額は直近12か月の標準報酬月額の平均や、休業前の給与の有無によって変わります。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
休業中に一部給与が支払われている場合は、傷病手当金からその給与額が差し引かれます。全額支給が止まるわけではなく、あくまで「傷病手当金の額」と「支払われた給与」の差額が出る点がポイントです。
支給期間「通算1年6か月」とは
支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。2022年1月1日の健康保険法改正より前は、途中で仕事に復帰した期間も含めた暦の上の1年6か月で打ち切られていましたが、改正後は傷病手当金が支給されない期間(復職している期間)を除いて数えるようになりました。同じ病気やケガで再び休業した場合、通算の残り期間の範囲で支給を受けられます。
国民健康保険にはなぜ無いのか
傷病手当金は健康保険法にもとづく制度で、会社員・公務員などが加入する健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)が対象です。自営業やフリーランス、退職後に国民健康保険へ切り替えた方が加入する国民健康保険では、傷病手当金の支給は法律上「任意給付」とされており、実施している市区町村はごく限られます。
働けない期間の所得を、標準報酬月額の2/3・最長通算1年6か月で補う仕組みがあります。
傷病手当金に当たる制度は原則ありません。働けなくなった期間の収入は、貯蓄や民間の保険で備える必要があります。
関連:保険の基礎知識「生命保険と公的保障制度」(高額療養費・傷病手当金・遺族年金の図解)
民間の保険にどう影響するか
会社員の方は、傷病手当金(標準報酬月額の2/3・最長通算1年6か月)がある前提で保障を考えられます。民間保険は、この2/3で足りない差額や、1年6か月を超えて働けない場合の備えとして検討するのが基本です。
自営業・フリーランスの方は傷病手当金がない分、就業不能保険や所得補償保険の必要性が相対的に高くなります。どちらの立場でも、公的保障でいくら補えるかを先に確認してから、足りない部分だけを保険で埋める順番は変わりません。
申請の流れ
傷病手当金は自動的に支給されるものではなく、加入先の健康保険に申請書を提出する必要があります。申請書には、本人記入欄のほか、医師が労務不能と認めた期間を証明する欄、事業主が給与の支払い状況を証明する欄があります。時効は労務不能だった日ごとに翌日から2年です。
よくある質問
傷病手当金はいくらもらえますか。
支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均を30で割り、2/3をかけた額が1日あたりの目安です。標準報酬月額30万円の方なら、1日あたり約6,667円になります。
支給期間の「通算1年6か月」とはどういう意味ですか。
2022年1月の改正で、途中で仕事に復帰していた期間を除いて1年6か月を数えられるようになりました。改正前は復職期間も含めた暦の上の1年6か月で打ち切られていました。
自営業やフリーランスは傷病手当金をもらえますか。
加入している国民健康保険では、原則として傷病手当金に当たる給付はありません。働けない期間の収入は、貯蓄や民間の保険であらかじめ備えておく必要があります。
休んでいる間に一部給与が出ている場合はどうなりますか。
給与が傷病手当金の額より少なければ、その差額が支給されます。給与が傷病手当金の額以上であれば支給されません。
申請はいつまでできますか。
働けなかった日ごとに、その翌日から2年で時効になります。休業からしばらく経ってからまとめて申請することも可能です。
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本記事は2026年9月20日時点の公的資料に基づく一般的な制度の解説です。実際の支給額・支給期間は加入先の健康保険での判定によります。
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